刑法各論講義4版



 刑法各論も3版を上梓してから7年が経過した。この間に、刑法典は、数次の、しかも大きな改正を経験した。この間の判例の動きも著しい。さらに法科大学院が動きだし、これまでの刑法解釈学に与える影響の方向性がほぼ見えてきた。そして、裁判員制度も始まろうとしている。
 特に各論は、法改正に対応した記述が要請される。改版が遅れたことに関し、各方面から厳しいお言葉を頂戴しているが、まさに著者の能力と努力の不足が原因であり、ただただお詫びするしかない。
 3版に比し、かなり紙数が増えている。これは、刑法改正部分について、かなり詳しく解説したことによる。さらに、法科大学院教育も視野に入れて、事案解決の思考のプロセスを、これまで以上に具体的事実を踏まえてた形で示すことを意識したためである。そして旧版と同様、最新判例はできる限り網羅的に取り上げた。新旧両司法試験に、必要にして十分な記述を提供することを心がけた。また、この間にもいくつか論文・判例評釈を執筆したので、それらを刑法各論を学習するみなさんに読みやすい形に直して、該当項目の中に書き込んだ。
 本書の記述は、総論4版と同様、「本文は基本的な説明部分で、色網掛けの部分は解釈論上重要な争点と重要な判例」という形で書き分けた。ポイントを落とした部分は、やや細かな論点及び、若干古くなった論点、下段の注は、学習の参考になる文献情報や補足的説明など、まさに注としての内容に限定した。
本書の出版にあたっても、東京大学出版会の方々、特に斉藤美潮さんに大変お世話になった。ここに厚く御礼申し上げる次第である。
2006年 11月
        前田雅英


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